IMG_5677今年も早くも半年が経とうとしていますが、こんなに象嵌作りに追われている年も珍しいかもしれません。
これも、「木象嵌をもっと知ってもらいたい」、「木の藝術を広めたい」と思い、年初に「木象嵌yearにするぞ!」と(勝手に)自分で決めて活動してきた甲斐かな・・、と嬉しく思う反面、作業はなかなかシビアなので、次の展示会に向けての作業に、少し青色吐息でがんばっています。

フラノ寶亭留での展示会は残すところあと4か月ちょっととなりました。予想を上回る大きな反響を頂いており、本当に嬉しく思っています。ここで見て下さった方が次の展示会に誘って下さったり、直接感想を送って下さったり、と十分な手ごたえを感じています。
同時に、最後の作品入れ替えとなる夏に向けて、さらにクォリティが高い作品が作れるよう身が引き締まる思いで製作に向かっています。製作するものはもう決まっているのですが、納品までかなりタイトなスケジュールなのでどこまでやれるか自分でも挑戦の毎日です。たくさんの方にご覧いただければと願っています。

僕の木象嵌は、着色や彩色を一切行わない、天然の木の色と木目だけによる表現のため、木の種類、色、木目など、ストックしている材料の中でどのように色彩を組み立てるかを常に考えながらの作業となります。
今までの経験で、だいたいこんなイメージになるだろうと計算して木を配色するのですが、実際作り始めてみると、「思っていたのとは違う・・。」ということもしばしばで、そうなるとすべての配色を見直し、もう一度初めからやり直さなければなりません。
そう考えると、一番頭を悩ませるのがこの「配色」という作業であり、そしてそれがズバッと決まった時にはこれがまた最高の歓びになるので、ついつい何時間も一人ぶつぶつ言いながら目の前に材料の色見本を並べて、あーでもない、こーでもない、と配色作業に没頭することになります。時には夢の中でもこの作業をしていて、自分でも「病気だよな・・」と苦笑してしまいます。
寝ている時くらい違うことに没頭したいものです。

写真の象嵌は、「葉」をモチーフにした作品で、この象嵌に至っては配色はもちろん、「ナラの葉はナラの木で、ホウの葉にはホウの木を」と、その木の「葉」をその「木」を使って象嵌しています。いわば究極の配色とも言えますし、自分でもとても気に入っている作品です。背景の色(木)を変えてやると、それぞれの葉がまた違って見えるのも象嵌の愉しみです。写真の象嵌の背景はブラックウォルナットですが、フラノ寶亭留に展示しているものはサペリという木を使っています。(フラノ寶亭留展示会)

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木と木を組み合わせ、そこに職人の手を介して新しい息吹を吹き込む。僕の作る木画、「木象嵌」の作品が「見る人を魅了する」作品になるように。そんな願いを込めて今日もこつこつ作業を始めています。

投稿者プロフィール

Akio Shimada
Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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