来週、6月16日に大丸札幌店で行われる「夏の北欧フェア」で、北欧をテーマとしたワークショップが開催されます。

フィンランド語講座や、白樺の皮を編むかごの講習会だったり、普段はなかなか参加することができない講習会が多く、興味を惹かれます。

そういう私も一講師として「木象嵌のコースター」製作のワークショップを開きます。

ワークショップ用コースターWEB

午前と午後の2回行いますので、興味のある方、「象嵌してみたい!」と言う方、ぜひぜひ参加をお待ちしています。

申し込み先:大丸札幌店 ワークショップ担当 011-828-1111

これまでも、大丸札幌店の北欧フェアで過去に2回、ワークショップをさせて頂きました。

大体晩秋から初冬にかけてが多かったので、作っていたのはクリスマスをイメージしたモビールでしたが、今回大丸の担当者から、「夏のワークショップを」と言われて、ちょっと悩みました。

いろいろ考えて、今回は木象嵌のコースターを選んでみました。

北欧フェアなので、北欧を連想させるデザインにします。

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こんなに細かいままだと、プロ級になってしまうので、簡略化して象嵌しやすいデザインに変えました。

北欧と言うと、どうしても冬、クリスマスのイメージが強いと思いますが、夏の北欧もまたとても素敵なところです。

真っ青な空。吹き抜ける草原。そして色とりどりの花が咲く美しい季節。

街では外に設けられたカフェで夜遅くまでビールやコーヒーを飲みながら、のんびりとしゃべる人たちの姿もいいものでした。

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そんな夏の北欧をイメージし、夏の暑い日に飲む冷たい飲み物を、自分で作った象嵌のコースターと共にゆっくり過ごしてもらえたら、参加する方にはこんなことを願っているのですが。

木象嵌をご存じない方、初めて見たという方はたくさんいらっしゃいますが、実はその歴史ははるか昔、オリエント文明まで遡ります。シリアのダマスカスが発祥の地と言われており、エジプトのツタンカーメン王の副葬品の中に、現存する木象嵌の作品があります。(写真)

ツタンカーメン椅子

日本にはシルクロードを渡って飛鳥時代に技術が伝わり、正倉院の宝物のなかに、いくつか作品を見ることができます。

木象嵌にも技術がいくつかあり、日本で盛んになっているのは明治時代以降に作られた象嵌用の糸鋸を使ったもので、おもに箱根が産地となっています。

今回大丸のワークショップでは、機械を使わない、ヨーロッパで発展した手法をご紹介します。

私は2007年に、日本人としては初となるスウェーデン国家資格である「スウェーデン家具マイスター」の称号を授与されました。

マイスターになるまでには、日本での学生時代、修行時代があり、就職先で出会ったスウェーデン人木工家の勧めで、スウェーデンの工芸学校に留学し、そこで北欧の木工技術を学んだ経緯があります。

それまで、見様見真似で作っていた木象嵌もスウェーデンで本格的に学ぶ機会があり、それが今の私の木象嵌の技術となっています。

それではどんな方法か、というと、柄を転写した薄くスライスした木を、デザインカッターというカッターで切り抜き、それを下地になる木に嵌め込んでいくというものです。

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文章にすると、簡単のようですが、0.5㎜の薄い木でも、木は木。硬さがあるので切り抜くことがまずなかなか難しいかもしれません。

カッターで物を切るということ自体、久しぶりという方も多いはずです。

今回のワークショップでは、こう言った、「初めて!」の方も作業がしやすいような図柄を選んでいますので、とにかく楽しんで参加してほしいと思っています。

私は毎年夏に、札幌市内の高校生を対象としたワークショップでも講師として参加しているのですが、この高校生用のプログラムをベースにして今回のワークショップの構成を考えています。

イマドキの高校生が、興味があるのかどうか、と最初は不安でしたが、毎年毎年どの学生も作っているうちにのめり込み、最後は「おもしろかった~」と言ってくれる人気の講座です。

ですので、興味のある方であれば、どなたでも気軽に参加できるような内容ですし、実際の作業も問題ないと思います。

普段工房にこもって象嵌作業をしていますので、なかなか気軽に象嵌を教えるという機会はありません。

耳で聞いても「なるほど」くらいなものですが、百聞は一見に如かず、実際に目で見て自分で作業すると、どうして象嵌が昔から珍重されてきたのか、きっとご理解頂けると思います。

ヨーロッパをご旅行された方などは特にお分かりになると思いますが、中世ヨーロッパのお城では、貴族たちがこぞってこの象嵌を城のあらゆるところで使い、その大きさも次第に大きくなっていき、壁が全面木象嵌、というところも珍しくありません。

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ご自分でこの象嵌の作業を行ってみると、この中世ヨーロッパで活躍した職人のすごさ、重要さがきっと身近に思えると思います。

ワークショップでは、切り抜き、嵌めるという作業で終了し、その後の仕上げは私が工房に持ち帰って行います。

具体的には、木象嵌をコースターの本体ベース部分に圧着し、塗装します。

今回、塗装は水に強いウレタン系塗料を用います。グラスの水滴や、飲み物のシミなどから木象嵌を守り、より長く使えるようになります。

手間をかけたコースターは、この夏中活躍すると思います。

愛用の一品、ぜひご自分の手で作ってごらんになりませんか?

たくさんの方のご参加を心よりお待ちしております。

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投稿者プロフィール

Akio Shimada
Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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