先日京都で行われた茶会に行ってきました。
私が作った風炉先屏風を使っていただいたお茶会でした。

われたのは京都芸術センターで、京都市芸術文化協会の主催する公募展「藝文京展」に於いて、過去入賞した作家による「藝文京展EXーつなぐー」という特別展に合わせて行われたものでした。

私も今から3年ほど前に作品「蓮」でNHK京都支局長賞を頂いており、そのご縁で今回お声かけ頂いた次第でした。
「蓮」はこちら。

私のところにお話を頂いたのは、昨年の夏のことでした。
ちょうどお茶の道具を作っていたところでしたので、すぐに風炉先屏風を出展させてもらいたい旨をお伝えし、秋に出品のご依頼を頂きました。

茶会のコーディネートをされたのは、茶道裏千家淡交会総本部国際部のマイケル・ハーディさんです。
ハーディさんと打ち合わせて、2月にふさわしい風炉先屏風を作ることになりました。
この季節の屏風は初めての制作です。

折しも、ハーディさんとお話しした時、私は11月、12月に札幌グランドホテルで行われたグループ展に出品する作品を制作しているところでした。

冬に向かう北海道の自然をイメージしたもので、キリっと冷えた日の何もかもが凍りつく寒い朝の、その凍りついた水たまりの様子を描いたものでした。
「結氷」

私が工房を構えるここ北海道の当別町は、自然が豊かな土地で、工房への行き帰りはもちろん、作業中も、ふと見まわす度に四季折々の自然の様子を肌身で感じることができます。
自然の作りだす美しい景色そして文様にハッとさせられる度、これを作品として制作してみたいと強く心に想うことは多く、今回も冬に向かう季節の頃に見た、水たまりの、白く、凍える氷の様子を描きたいと思い制作した作品でした。
それも、一種類の白い木でだけを使い、木の表面と裏面で不正確にならんだ三角形をいくつも描くことで「氷」を表現したのは、私にとっては結構チャレンジでもあった作品でした。

ハーディさんに「結氷」の写真をお送りしたところ、とても喜んでくださいました。
こちらが思っていた以上気ににいって頂け、「この氷の様子は、夏の暑い時にも涼し気に見えて、冬だけではなく夏にも使える屏風になりますね・・・」ともおっしゃってくださいました。

下書きづくりが始まりました。
「結氷」の下絵はありましたが、大きさが違う事、そして屏風は2面あることから、単純に連続させるのではなく、細かく変えながら、一見わからないように見えて少しずつリズムを変えて書いてみます。

実際の大きさで書かないと、どうしてもイメージと仕上がりに満足いかないという私の場合、ここまで書ききるのに、かなりの時間と労力でした。
書いては消して、消しては書いて。
そのうち辻褄が合わなくなって、必死に書き直しているうちに夜中になっていた、という泣ける有様の時もありましたが、ようやく下書き完成です。

早速お送りしたハーディさんからもOKが出て、いよいよ制作します。

この不揃いの三角形、一色の木で作って、一つ一つ形の違いが出るようにするのには、材料の見極めがとても重要でした。
しかも、白い木の、白い木目を選んで選んで作るので、神経をとがらせて作業を進めます。誤魔化しのきかない作業の連続です。

その結果、作っているときは必死すぎて、作業途中の写真を撮るのをすっかり忘れるほどでした・・。

出来上がったのが、こちらです。
模様はこのように、同じ木を使っているのに、しっかりと表と裏の違いが出ています。

全体はこんな感じです。

裏面は板目の材をシンプルに縦につなげて作りました。

枠の木も白い木を使っています。
メリハリは出ませんが、「氷」のイメージにふさわしい感じは出たと思います。

自分で言うのも何ですが、とても良い仕上がりになったと思います。
そんなわけで、撮影にも力が入りました。
工房はさながら臨時スタジオのようです(笑)

京都に向けて発送し、届くころに私も京都に向かいました。
修学旅行以来の京都、ウキウキという気持ち、そして作品のことを思い、気に入ってもらえるかどうか、ほんの少し不安も感じながら雪の千歳空港を後にしました。

こちらが京都芸術センターです。
風情のある佇まい、よい感じです。

早速ハーディさんとお会いしました。
風炉先屏風を本当に気に入っていただけたご様子で、まずは一緒にパチリ。

いよいよお茶会が始まると、いらっしゃったお客様への「作品紹介」なるものが作家よりなされました。
私の他にも、
漆芸の作家、三木啓樂さんによる棗や菓子器。
ガラス作家、山崎純子さんの菓子器。
などなどと並び、アメリカのシェーカー・ボックスが煙草盆として使われたり、香合もアメリカ製のものが使われるなど、ハーディさんならではのコーディネイトが面白く、いらっしゃったお客様も意外な組み合わせに喜んでいらっしゃいました。

私もかじる程度にお茶を学び始めた所ではありますが、今回の茶会の設えはとても勉強になりました。
自分の道具だけではなく、ほかの作家さんの作られたものを拝見できて、「茶」の持つ奥の深さをたっぷりと感じられた一日でした。

いろいろな方とお話できたのですが、特に京友禅の人間国宝でいらっしゃる森口邦弘さんとお話できたことは本当に励みになりました。
風炉先屏風にも好印象を頂いて、ちょっとだけ自信にもなり、はるばる京都に来て本当によかったと思いました。

この何年か、ご縁があって人間国宝の方々とお話する機会がありましたが、一口に人間国宝と言っても様々な方がいらっしゃるものだと思っていました。

その中でも、森口先生の気取らないお人柄、「作る」ことへの姿勢、楽しいお話の数々に、「カッコいい」作家の姿をまじまじと拝見できたような気がします。
憧れます。

またどこかでお会いできることを切に祈りながら、最後に撮った写真です。
森口先生、参加された作家の皆さんと。

京都から戻り、真っ白い雪の工房に向かっていると、「現実だなー・・・」と思いますが、雪が解け、春になる頃までにはまた新しい作品をいくつか作るので、気持ちを一新してがんばります!
よし!やるぞー!

投稿者プロフィール

Akio Shimada
Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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