先日、フラノ寶亭留の展示会をご覧になった方が木象嵌をご注文下さいました。
行先は香川県です。
北海道を離れ、遠く四国まで運ばれていく自分の作品は、どこに、どのように飾ってもらうのだろう・・・、なんて考えながら出荷前のメンテナンスとチェックを行い、建材で作った木枠(もちろん自分で作ります)に入れて発送の準備を整えます。
今回ご購入いただいたのは、「Forest」-森ーというタイトルの3連作です。
サブタイトルは「静謐の森、闇と燦」。
陽光を受けてきらめく昼の木々、そして凛とした夜の闇に静かに眠る木々。これを3枚の木象嵌に仕立てて表現したものです。
実はこの作品の構想は、東京で行っていた展示会の最中、喧騒の街で、一瞬「静けさ」を求めて心に浮かんだ「森」の様子からできたものでした。
自然からインスピレーションを受け、そのモチーフを独創的に変容させる過程のなかで、今回のように自分の心模様がふっと映し出されることがあり、この要素が自分の中でとても重要なものになっている気がします。
昼と夜、一日が持つこの二つの世界は、喧騒と静謐という二つの世界の境界線でもあり、そのどちらにも憧れを感じる自分の心を覗いたような、そんな気持ちを込めた作品です。
新しいオーナーのもとで、ご覧いただく方々にどのように感じてもらえるのか、ドキドキとワクワクを乗せてトラックに積み込まれた象嵌を、見送った後もなお、しばらく想いつづけています。
投稿者プロフィール
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1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。
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