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これは千葉県にお住いのT様の奥様と3匹のコーギー兄弟の写真です。

奥様が持っている3匹の木象嵌は、ご主人であるT様がサプライズで贈ったバースディプレゼントです。

「前世は犬だったのかも・・・」とおっしゃる奥様は犬がとっても好きでたまらない、真の「愛犬家」でいらっしゃるそうです。
そんな奥様に「こんなのサプライズでプレゼントしたら喜ぶんだろうなー。」とFacebookで私の「愛犬象嵌」の記事を読んでいたT様は思いつき、ご連絡を下さいました。

でも、「木象嵌なんて全然聞いたことも無いものだった。」とかで、初めて見た犬の象嵌に「これは何だ?」という印象だったそうです。

「わからないままとりあえず連絡をしたんですよ。」とおっしゃっていらっしゃいましたが、ご注文を決めてくださったのはこちらの対応が良かったから、と後日教えて頂いて本当に嬉しいやらホッとするやら。

ありがたいことと心から思いました。

「飼っているコーギー三兄弟の木象嵌を、妻の誕生日に贈りたいんですよね。」

そうおっしゃるT様のお言葉には奥様と愛犬達に対する愛情がギュッと詰まっているように感じられました。
聞いている私もじーんと心が温まりました。

「想いをカタチに」

やりがいあるご注文に、「がんばるぞ!」と思います。

そして、とにもかくにもまずお写真をお預かりするところから今回の愛犬象嵌作りもスタートしました。

送って頂いたのは、この写真。

元気そうな2匹の男の子、そしておしとやかな女の子の一姫二太郎の兄弟です。

3匹を一枚の木象嵌に仕立てるのは、私にとってもこれが初めての経験となります。

それぞれの特徴が出るように、3匹のアップの写真も送ってもらいました。

長男のコメ君。

長女のすりちゃん。

次男のムギ君。

可愛いですね。

3匹がじゃれあっている姿や、走っている姿などついつい想像して、「いいなあー。」と思います。

そしてここからイメージを膨らませ、飾ってもらって違和感のない構成に組み合わせを考えます。

写真を使っての提案用イメージがこちら。

この案でOKが出ましたので、早速下絵に落とし込んでいきます。

やっぱり下絵にすると、何が何だか分からなく見えると思います。

これがどうなっていくのか・・・。

ご注文下さった方が一番不安に思う瞬間かもしれません。

私の頭の中では大体のイメージはできているのですが、木だけを使うということで色彩やイメージを口頭や文章で伝えることがとても難しく、ご相談したりご説明したりしながら、最終的に出来上がった作品を見て頂くことが、結局は皆さんの安心につながっていくようです。

材料を選んで揃えます。

象嵌作業が始まりました。

少しずつ少しずつ進めていきます。

身体のラインのギザギザが想像以上に時間と集中力を要します。体力も思っているより消耗する作業です。

8割が終わりました。

何度か写真をお送りしていたT様も、「いいですね。スリの色の白さが強調されていてすごくいいです。」とおっしゃって下さり、ほっとします。

そしていよいよ細かい部分の象嵌です。

目が入ると、一気に生気を帯びます。

「命が入る」というと、ちょっと大げさに聞こえますが、やはりこの目のイメージで作品全体の雰囲気がとても変わってしまいます。

テストを繰り返しながら、大きさや形、位置などを細かく確認しながら決めていきます。

歯や爪なども大切な要素です。

T様に確認いただきながら、フレーム材もメープルに決まりました。

この写真をお送りすると、「表情が良く出ていていいですね。特徴をよく捉えて頂いています。」とご感想を頂きました。

嬉しいですね。費やした時間や苦労もどこかに吹っ飛んで行く嬉しい一言です。

いよいよ塗装に入っていきます。

色もしっかり出てとても良い仕上がりです。

表面もツルツルになるようにサンドペーパーをそっと当てて仕上げていきます。

傍目には削れているの?と思うほどそっとなでるようにペーパーを掛けるのですが、指で触ると細かい木の粉で指が白くなります。

このあたりの作業は経験で覚えていくしかないものです。

何度も何度も経験して、その「あんばい」を身体で覚えてきたものです。

さて、完成しました。

奥様へのサプライズバースディプレゼントの出来上がりです。

木で箱を作り、千葉まで送ります。

T様のお手元に無事に届くよう、心の中で祈りながら箱に詰め、運送業者の方に委ねました。

さて、無事に千葉に発送した木象嵌ですが、奥様の誕生日はまだ少し先でした。

届いた後いつご覧になるのかな、と思っていたのですが、すぐにT様からご連絡がありました。

「さっき帰って来たら到着してました。

待ちきれなくて誕生日前に2人で開けてしまいました。

女房、す~~ごく喜んでくれました。

一番大好きなムギが本当によく出来ていて感動してました。

内緒で頑張ったのが報われました!

北海道のスウェーデンヒルズに住んでるんだよって言ったら、運命だね~~って言ってました。

あの表面のツルツル感、素晴らしいですね。

大 大 大満足です。

ありがとうございました。」

本当に、本当にうれしい限りのお言葉でした。

何だかT様と一緒に万歳!と叫んでいるような、そんな気持ちになって心が熱くなりました。

本当にありがとうございました。

素敵な奥様と3匹の兄弟たち、素晴らしいご家族のお幸せを北海道よりお祈りしております。

遠く離れた場所の、今までは知ることのなかった方々とこうして「縁」があることを、木工家という職業を通し、また、木象嵌と言う作品が連れてきてくれることを、しみじみとありがたく感じるこの頃です。

こんな素敵なストーリーをこれからもたくさんの方々と紡いでいけたらいいなと心から思っています。

投稿者プロフィール

Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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