今年も7月9日(土)から7月10日(日)の2日間、北海道の青い空のもと、40台のクラシックカーラリーが開催されます。
昨年も、仕事に行く前にスタート地点で、名車たちを応援すべく旗を振りました。
本音は「その車、欲しいー!」
手入れをきちんとされた名車たちのエンジン音は、お腹にずしんと来て、本当に嬉しくなります。
子供のころ、スーパーカーと名を馳せた「ランボルギーニミウラ」、名車と名高い「ベントレー」や、憧れの「ポルシェ」。
「フェラーリ」、「ジャガー」、「ボルボ」、「メルセデス」。
国産車だって負けずに、「スカイラインGTーR」、「フェアレディZ」、「2000GT」などなど、言い出したらキリがないほど、垂涎の車が目の前を通り過ぎて行きます。
どうして昔の車はカッコいいのか?
安全基準も、燃費も、価格も、そんなこちゃこちゃしたことをさておいて、「カッコいい」ことや、「他とは違うオリジナリティ」を求め、そこに「こだわり」を貫いていたからではないでしょうか?
コストを重視したと言われる角型のボディーも、そのオリジナリティが今なお愛され続けているのは、その車を作った人たちの、言葉にならないほどの車への愛情に他ならないと思います。
当時は、機械では角型にしか作れなかったボディを、曲線状に丸くするためには、職人さんの手による板金が必要でした。
時間をかけた熟練工の手仕事があってこそ、その美しい曲線が産み出されたことは、同じ手仕事をしている人間には、たまらない憧れのたわものです。
だからこそ、当時、「スーパーカー」の異名をとり、庶民には決して手に入れることのできない車の数々が、あんなにも人の心を動かし、そして心に焼き付けられたのではないでしょうか?
今、機能はさておき、外見だけで「どうしても乗りたい!」と思う車が減ってしまったように感じ、とても寂しい思いがします。
どの車を見ても、何となく同じ形、同じような雰囲気、面白みがなく感じるのは、私だけではないでしょう。
安全性能、安全基準。
絶対に必要なことですし、それをないがしろにして欲しいと言っているわけではありません。
でも、「心がシビレル」ほどのデザインの車はもう出て来ないのでしょうか?
若い人の車離れ、なんて言われていますが、人を惹き付ける魅力のある車が少なくなってしまったのでは、とつい思ってしまいます。
若いころ、フォルクスワーゲンの名車「ビートル」に陶酔して、ずいぶん長い間乗っていました。
小さいころから好きな車が、この「黄色いビートル」だったので、免許を取り、車を買う、と言う段でも迷わずビートルを選びました。
写真もすぐには出て来ないくらいの昔の話になってしまいましたが(四半世紀前ですから)、「好き」の衝動は、象嵌を始めたころの良い原動力になり、当時作っていたのがこんな木象嵌です。写真をもとに下絵を書いて、コツコツと象嵌したことを今でもよく覚えています。
当時は、周囲で象嵌をしている人もなく、自分で考えながら、あれこれと試行錯誤して作りました。
はっきりと覚えているワクワクした気持ちは、子供が図工の工作をしている時のような、何ができるのか、と目を輝かせてカッターを握っているような、そんなドキドキだったと思います。
人に頼まれて、ビートル仲間の車や(もちろんビートルです・・苦笑)、スウェーデン留学時代の友人たちの車、恩師の車、などなど、今まで何枚も「車の象嵌」を作ってきました。
当時は写真などは撮っていなかったので、お見せできないのが残念です。
でも、振り返ると、今まで作って来た「車の象嵌」が、ほとんど古いクラシックカーの域に入るものばかりでした。
車が好きな人間にとって、1950年代~1970年代の車は、国を越えても、「愛する」に値する名車が多かったこともありますが、やはり私自身が好きでたまらない車がこの頃のたくさんあるからだと思います。
この木象嵌は、私のスウェーデン留学時代の知人の家にあった「VOLVO P1900」という車です。
私が好きな車の一つで、当時撮らせてもらった写真をもとに作りました。
この車は1956年に67台のみが製造され、現在は数台しか残っていない幻の名車です。
車の持つフォルム、光彩。その元の姿に忠実に寄り添いながら、その独特の雰囲気を出せるように、材を選び、嵌めていく一連の作業は、さながら少年時代に戻ったように、ワクワクします。
車が好きな一人として、こうして「愛車」を木で描く「木象嵌」にすることは、作る側も見る側も、本当に愉しいことだということを声を大きくしてお伝えしたいなと思います。
車を愛するオーナーのみなさん、世界に一つだけの、あなただけの「愛車の木象嵌」を作りたいです!
ぜひお問い合わせください。一緒に「車」を語らせて頂きたいです・・・。
さて、クラシックカーラリーですが、このレースではスピードを競い合うことはしません。時速は法定速度に設定されています。
ラリーの目的は、「正確に走ること」です。
走行ルートを正確に廻り、その証明となる「スタンプ」をもらいながら、さらに「計測エリア」で定められた距離を決められた時間内を目指して走行し、その誤差を競うことが競技ルールなのです。
今年のルートは、札幌旧道庁(赤れんが庁舎)を出発し、支笏湖、洞爺湖を回って函館まで抜け、その後北海道新幹線開通に合わせ、新函館北斗駅を廻り、江差、八雲、ニセコ、余市を一気に走破して、札幌ファクトリーがゴールとなっています。
今年は、ニセコで自転車の大会に出る予定の私ですが、どこかの地で、この美しい名車と、その車たちを愛してやまない方々を応援したいと考えています。
いつか出たいなー、このラリーに!!
投稿者プロフィール
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1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。
お問い合わせ→こちら
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