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先日newsでもお知らせしましたが、北海道のローカル情報雑誌 「HO(ほ)」さんに取材を受け、8月号に記事を掲載して頂きました。

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今までもいくつか取材を受けたことはありましたが、例えば「家具マイスター」のことだったり、展示会のことだったり、と私の「仕事」にフォーカスされたものが多かったのです。

今回頂いた取材内容は、ずばり「プロの道具拝見~これがないと仕事になりません~」という、木工家、木工家具職人として、そして象嵌職人としての道具を見せてくださいね、と言う内容でした。

「木工」と一口に言っても、木を使ってものを作ることがすべてあてはまりますが、その中には、家具作り、建具づくり、木の小物づくり、木彫、などなどたくさんの仕事があります。

たくさんの仕事があるだけに、これがまた、本当にものすごくたくさんの機械、道具が存在します。

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私が使っているものなど、ほんの一部ではありますが、それでもこんな道具たちを使いこなすようになるまでには、今までどれくらいの時間がかかっているのか、見当もつきません。

それに、おもしろいことに、同じ作業をする道具なのに、国によっても違いがあり、例えば私が留学していたスウェーデンでは、カンナは引くものではなく、押して削るものでした。

私が日本から持参したカンナで木を削っていると、周りのスウェーデン人のクラスメイト達が「なんだ?なんだ?」と集まって来て、不思議そうに見ていたことを思い出します。

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その話だけで、夜の食事でも盛り上がり、木工好きの人間が集まっていたとはいえ、作業に欠かせない道具についてはとことん興味がつきなくて、「作るものも好きだけど、道具にこだわることも大好き!」という人が多くて本当におもしろいなと思ったものでした。

今回改めて取材して頂いたことで、自分の周りの道具を見回すきっかけとなり、プロとして木工家具作り、象嵌作りをするうえで、こんなにも道具が必要なんだな…と改めて感じることになったのは自分にも良いことでした。

木工の主役(?)と言えば機械ですが、木を切ると一言に言ってもいろいろな用途に応じて機械が違います。

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自動で厚みを揃えるもの。

さらには、自動でカンナをかけてくれるもの。

ぐるりと一周した平たい刃が、ぐるぐる回って木を切るもの。

機械作業にはケガもつきものですから、作業は神経を使います。

刃物も、それぞれに違いますから、使っているうちに切れなくなると、専門の業者さんに頼んで刃を研いでもらいます。

研ぎたての刃物で切るときには、スパッと切れて気持ちがいいので、気持ちもノッテしまいますが、こんな時こそケガに気をつけないとなりませんよね。

木工をしていると、指を落とした(切ってなくなった)と言う話はよく聞く話ですし、実際に私の周りにも結構います。

さらに数年に一度は、機械加工中に跳ね返って来た木が体に刺さり、ケガをした、失明した、さらには死に至った、ということも耳にします。

私が木工を仕事にすると決めた時、保険屋さんに勧められて「指の保険」と言うものに入ったことがあります。

指にはすべて値段がついていて、一番高い値段は、親指。そして、人差し指、中指、薬指、小指、の順で価格が下がります。

「両手の指の写真、撮っておいた方がいいよ。」というアドバイスをもらったこともあります。

怖いですよねー。

数年もしないでこの保険はやめてしまいましたが(逆に指のことをいつも気にし過ぎて怖くなるので)、木工家具を作っているということが、「体を張る仕事」であるという思いは、常に頭に置いて作業をするようにしています。

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今回の取材の時は、ちょうど木象嵌を作りかけていることもあり、象嵌で使う道具を撮ってもらうことになりました。

でも、いざ編集者の方と打ち合わせをすると、象嵌をする時に使う道具だけに絞ると、デザインカッター、マスキングテープ、自分で作った木製の棒(のようなもの)、の3点になりました。

「ん?」

自分でも、ちょっと意外なくらい道具が少なくて苦笑しました。

マスキングテープなんて、「プロの道具だ!」と胸を張って書いてもらっていいんだろうか、と思いましたが、編集者の方に「よくあるものなのに、これを使って、こんな作品ができているんだ!という方がおもしろいですから。」と言われて、なるほどな、と感心です。

マスキングテープは、嵌め込んだピースを裏から止めておくのに使いますが、色、幅、そして粘着力の違うものを、それぞれ必要に合わせて使っています。

いつも、10本とか20本のまとめ買いで用意しておきます。

デザインカッターは、切り絵などにも使われているもので、私が使っているのはNTカッターと言う名称のものです。

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木は硬いので、スッと紙のように切れる木は稀です。

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力をいれて切ると、木の硬さに負けてしまいすぐに刃が欠けたり折れたりしますので、刃の交換が欠かせません。

替刃は一箱に40枚ほど入っているのですが、これを1ダースとか、2ダースとかで買っておかないと、大きな作品だとみるみるうちになくなります。

使っているカッターマットにも、折れた刃の先が潜り込んでしまい、これがまた次の刃が欠ける原因にもなるので、ある程度使い込んだら交換を余儀なくされます。

 

こんな小さなモノたちも、無ければ作業ができない、大切な道具です。

雑誌を読んでくれた方に、こんなニュアンスまで伝わってくれていたらいいな、と思います。

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最後に、私のとっておきの道具を一つ披露します。

それは機械作業の時にする、防音用の耳あてで、「イヤーマフ」と呼ばれるものです。

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機械の音と振動で、耳に負担がかかり、歳と共に耳が聞こえなくなるというのは、木工をしている人にとって当たり前のような、辛い現実があります。

スウェーデン留学時代にこれをつけて作業することで、耳への負担が軽減されることを知り、それ以来、スウェーデンでも、日本に戻ってきても大切に使い続けているものです。

木工の機械作業をしている時に私を見かけても、けっして音楽を聴いているわけではないので、ご安心ください!

こんな立派な脇役たちに支えられ、私の木工家具、木象嵌は今日も工房で作り続けられております。

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投稿者プロフィール

Akio Shimada

1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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