今週末の2016年6月19日は、第33回となる当別町主催の「夏至祭」が開かれます。
毎年来訪者が増えて、当別町近郊(札幌、江別、石狩)などでは夏の風物詩として認知されている人気のイベントになっています。
場所は当別町スウェーデンヒルズ スウェーデン交流センターとその近辺(レクサンド公園、スウェーデン公園)で、時間は10:00~15:00まで開催されています。
今年初めて「行ってみようかな?」と考えていらっしゃる方は、そもそもどんなお祭りなのか知りたいのではないでしょうか?
そんな方のために、「夏至祭」のことあれこれをまとめてみました。 (当別町の夏至祭は一番下の方にまとめてあります。)
「夏至祭」~ミッドサマーフェスティバル~
世界各地で夏至の日にお祝いをする「夏至祭」が開かれていますが、特に有名なのが北欧エリアです。
スウェーデン、フィンランドが高いポールを立て、その周りをフォークダンスをして一晩を過ごすのに比べ、デンマーク、ノルウェーはたき火を中心にして、やはりフォークダンスをして一夜を過ごします。
冬が長く、日照時間が少ない北欧の国々で暮らす人にとって、夏の訪れを知らせる〈夏至〉は、心躍る季節が始まったことを告げる大切な日であり、ここに宗教的な要素として〈聖ヨハネの祝日〉が合体し、特にその「祝う」重要さが増した祝祭日になっています。
*聖ヨハネは、イエスキリストより半年早く産まれた洗礼者で、イエスキリストを洗礼したとされる聖人の一人です。
その誕生日が6月24日だったため、夏至祭もこの6月24日に近い土曜日に行われることになったのです。
スウェーデンの夏至祭
夏の到来を祝う夏至祭は、スウェーデンでは特に盛大に行われています。
6月19日から26日の間の土曜日が夏至祭(祝日)となり、子ども達は6月から夏休みに入っているため、 多くの人々がこの夏至祭に合わせて休暇を取り、郊外のサマーハウスなどでゆったりと夏を過ごします。
家族、親戚、友人同士、地域の人々がそれぞれ集まり、夏至祭を共に祝います。
夏至祭の中でも一番のイベントは「マイストング」といわれる柱を立てることです。
マイストングは「五月の柱」という意味で、豊穣のシンボルであり、大きなものでは20 mを超える大木に野の花々やモミの葉などを美しく飾り付けます。
これはドイツなどで行われる五月祭の柱(メイポール)が伝わったとされていますが、冬が長い北欧では5月はまだ冬が終わったばかりで野に咲く花もほとんどないことから、夏至の時期にマイストングを立てて、お祭りを行うようになりました。
マイストングを垂直に立てた後、その周りで民族衣装に身を包んだ人々が、バイオリンやスウェーデンの民族楽器、ニッケルハルパの演奏に合わせて、夜遅くまでみんなでフォークダンスを踊ります。
スウェーデンの伝統料理であるニシンの酢漬けやディルと一緒にゆでたじゃがいも、チーズやサラダなどを食べながら、ビールやシュナプスを飲んでにぎやかに過ごします。
夏至祭の日が近づくと1ヶ月以上も前からスウェーデンでは夏至祭の天気がニュースとなってテレビで連日報道されます。
雨が降ってもこの行事は開催されるので、レインコートや傘が必要かと、みんな必死なのです。
代々受け継がれる民族衣装を着て、一年で一番明るいこの一日を、歌って踊って飲み明かす。
そんなお祭りをぜひ一度は訪れいたいですね。
でも、スウェーデンは遠いので、当別町の夏至祭でそのムードを味わうのもお勧めです。
当別町の夏至祭
当別町は、スウェーデン中部にある〈レクサンド市〉と1987年から姉妹都市提携しており、交流を深めてきました。
レクサンドは、スウェーデンでも最も有名な夏至祭の町と謳われ、お祭り当日には市の人口15,000人に対し、それ以上の2万人もの人が世界中からこの夏至祭を見に集まってきます。
そして、当別町の夏至祭は、このレクサンド市のお祭りを、規模は縮小しているものの忠実に再現しており、日本にいながらスウェーデンの夏至祭のムードを楽しめるということで人気を博してきました。
始めた当初は当別町民や近郊の一部の人が集まって、試行錯誤しながらのお祭り開催だったものの、回を重ねるごとにお祭りとしては進化していき、30回を超えた今、全国から当別町の夏至祭を見に人が来るようになりました。
見どころは、なんと言っても〈マイストング〉の立ち上げです。
民族衣装を着た当別町民のボランティアにより、高さ約12mほどのマイストングが徐々に立ち上がっていく姿は、見ごたえ十分です。
上に飾られているのは、実行委員会の方々とボランティアの方々によって作られたリースですが、それぞれに意味があり、白樺で作られた丸いリースは「団結」を示し、ハートのリースは「愛と信頼」を意味しています。
マイストングの立ち上げは、毎年お昼13:00前ごろが多いようです。当日は、この時間は特に混み合うので、時間に余裕をもって会場にいらした方がいいと思います。
そして、このマイストングの周囲をフォークダンスで踊ります。札幌の同好会の方なども参加していて、雰囲気はまさにスウェーデン。
さらに今年も、二組のカップルによる「ウェディングセレモニー」が行われるそうです。「当日プロポーズも可」と募集要綱にあったので、もしかしたらプロポーズの現場を周りの人たちで囲む、ということもあるかもしれませんね。
昨年もとても素敵な雰囲気の中で行われたイベントで、お祭りにいる人みんなの祝福を受けて、とても幸せそうなカップルの姿が印象的でしたから、今年も期待したいと思います。
さて、食事もお祭りの楽しみの一つですが、写真の「北欧プレート」は、特におすすめの一品です。
ニシンの酢漬け、クネッケブレッド、茹でたじゃがいも、チーズ、ハム、そして北欧では欠かせないハーブのディルも添えられ、シンプルながら、まさにスウェーデンの味。
このほか、当別の特産品を使った食材がたくさん並び、家族連れの方もいろいろ楽しめそうです。
さて、当日は、私もお祭り会場内の工房で、「ダーラヘストのモビールを作ろう!」というワークショップを開催しています。
予約はいりませんし、親子で参加できますので、夏至祭の思い出作りにお立ち寄り頂ければと思います。
最後になりますが、スウェーデンの夏至祭には古くからの言い伝えがあり、特に結婚を意識している方々には興味深々の内容かもしれません。
それは、夏至祭の夜に、デイジーやレンゲソウなど、野で摘んだ7種の花束を枕に敷いて寝ると、夢の中で未来の花婿(花嫁)に会える、と言うものです。
7種の花は決まったものではなく、異なる種類であれば良いとされていますが、守らなければいけないのは花を摘んでいる間、「一言も口を聞かないこと」とあります。
夜と昼の長さが同じである夏至の夜、昔の人々は不思議なパワーがあると信じていたとも言われ、なんともロマンチックな話です。
もし将来の伴侶を知りたいと思っているようでしたら、今年は是非夏至祭の夜に試してみてください。
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投稿者プロフィール

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1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。
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