「秘密の小箱」と聞くと、ちょっとワクワクした気分になりませんか?

昨日小学4年生の息子に「図工でこれ作るんだけど、ちょっと教えて!」と聞かれました。

持ってきた絵を見ると、それは、まさにお宝箱。

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どんな〈お宝〉を入れる気なのかは知らないけれど、段ボールで作るというその箱は、ちゃんとできたら大人だって中に何が入っているのか知りたくなるような形です。

息子が聞きたかったのは、箱の構造と作り方の手順でしたので、紙に図を書いて教えてやると、「へえぇ、お父さんすごいね!」なんて嬉しいことを言うではありませんか。

「こちとら本業で毎日考えてるんだって!」

とは言いませんでしたが、でも実際ここ数日、お客様のH様に頼まれた「秘密の小箱」作りに励んでいるのは事実です。

何が入るのか、中に入れるものはお聞きしていませんが、コンセプトがしっかりしている小箱で、それは、何よりカップル、もしくはご夫婦の絆を深めるためのもの、なのです。

プロポーズで使うなら、中に入るのは、指輪でしょうか。

結婚記念日に贈るなら、最愛の人につけてもらうネックレスでしょうか。

何が入っているのか全くわからず、半信半疑で開けた箱から、かわいいお菓子と手紙が出てきたら?

そしてそのサプライズの後に、さらに箱の隠し部屋からイヤリングやピアスがプレゼントとして出てきたら?

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結婚から何年もたったご夫婦であれば、こんな贈り物を受け取った奥様は、驚きと喜びでどんな表情をするのでしょうか?

プロポーズで使ったカップルならば、この小箱は永遠に二人の想いが刻まれていくものになるはずです。

H様はご自分でもいつかこの箱をお使いになりたいと思いながら、お仕事の延長で、こういったカップルやご夫婦の最高の思い出となるような瞬間をプロデュースするために、試作の意味もあってご注文されてきました。

まずは大きさを決め、箱本体の試作をします。

鍵をつけたいということですので、鍵穴なども鉛筆で書いていきます。

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丁番もつけて開けた時の雰囲気が分かるようにします。

箱の中は二重底になっていて、上のもの(お菓子?花?メッセージカード?)を取ると、さらに下の段からものが取り出せるようになっています。

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試作と言っても、蓋の段差は削り出して雰囲気が出るようにします。

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作りながら、ふと知人の話を思い出しました。

50代半ばの知人の男性は、とてもいい人なのにずっと独身のまま。

結婚したいという思いはありながら、人からの紹介などは断って、自然に相手が見つかるのを待っているのだと、よく言っていました。

でも、なかなか縁がないまま年は経ち、このまま独身を貫くのかなと思っていた矢先、「結婚した!」と人の噂で聞きました。

お相手は、少し大きな子供さんがいる女性で、しっかりしている人のようだ・・・とのこと。

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知人男性はとてもいい人ですが、なにせ照れ屋で不器用なタイプです。

どんなデートをして、どんなプロポーズをして、ちゃんと結婚生活を送っているのか・・・、他人事なのにとても心配でした。

今こんな風に50代、60代の人が、人生のパートナーを探すということがとても多いのだそうです。

周りを見回しても、案外独身の人って多い気がします。

若い時に遊んでばかりいた人ならともかくも、この年代でパートナーを探すのなら、そこには「オトナ」を感じさせるプレゼントがあってもいいと思います。

オトナのサプライズ。

そんなときに、この小箱は役に立つかもしれません。

照れくさくて、想いが伝えられない相手から、繊細な模様と精緻な作りの箱を渡されたら、きっとお相手の女性も何が入っているのかわからない、わからなくても中が見たい、そんなワクワクとドキドキの瞬間を感じるに違いありません。

鍵を開ける、というのも、大事な要素になるはずです。

想いを取り出し、そしてその想いをまた閉じ込めておく。

何年たっても、時に触れ、鍵を開けたくなることでしょう。そしてその度にこの箱を渡されたときのドキドキを思い起こすかもしれません。

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さあ、大変です。

そんな箱になるかもしれないのなら、これは心して作らなければなりません。

箱の表面に入る象嵌はもう決まっていますが、箱を開けたその内面にも象嵌を施し、外側も内側も贅を尽くす予定です。

まだ途中ですが、箱の表面の象嵌は少しずつ始めています。

小さな花をモチーフにしたこの象嵌は、もともとアールヌーボーを意識してデザインしたものです。

順を追って撮った写真です。

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途中までできたところで、今度は取材の話が舞い込んできて、象嵌の途中の写真が欲しいということになり、急遽この象嵌は雑誌にも載ることになりました。

雑誌は「HO」(ほ)と言う北海道のローカル雑誌です。2016年7月号の「職人の道具」と言うコーナーになりますが、よかったらご覧になってみてください。箱になったところは、残念ながら間に合いませんでしたが。

大人の上質な時間を、象嵌が奏でるようになる、というのは私の夢でもあります。

この小箱にも、箱の隅々までも私の培ってきた技術を惜しみなくつぎ込んで、大切な誰かを想うその気持ちが詰められていくようにと願っています。

前述の私の知人にも、こんな箱をぜひ使ってもらいたかったなー・・・、と思いますが、今度は記念日にでも勧めてみようかな、と思います。

50男の独身男性のみなさん、世界に一つだけの、「オトナのサプライズ」を記念日に贈りませんか?

大人だからできる贅沢、そして大人にしかわからない上質のもので、ぜひ株を上げてください!!

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投稿者プロフィール

Akio Shimada
Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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