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家を新築したとき、家族みんながワクワクした思いで引っ越したこと、そんな思い出はありますか?

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札幌にお住まいのN様は、ご夫婦ともに道外のご出身でしたが、転勤で偶然住むことになった札幌がすっかり気に入って、この地に家を建てられたのは15年前のこと。

緑の多い山の手の土地に、家族の想いがつまった大切な「我が家」。

その家が、今年15周年を迎えられるのを機にN様がご注文下さった木象嵌のダーラヘストです。

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今回N様にお願いして、私が作った木象嵌の感想をお聞きした際、作品に対する想い同様に、私達作り手への想いが綴られていたことに本当に感謝申し上げ、一部をご紹介したいと思います。

築15年目となる今年、「何か記念になるものが欲しいな・・・」とN様がお考えになられていた時、ふと見つけてもらったのが私が作った一枚の木象嵌のポストカードでした。

ダーラヘストを9頭並べたこの木象嵌は、今から3年前の「午年(うまどし)」に合わせて作ったA4サイズの大きさの木象嵌で、おかげさまで可愛さが人気になり、ポストカードも作ることになったのでした。

象嵌 ダーラヘスト

象嵌 ダーラヘスト

ダーラヘストは、スウェーデン語で「ダーラナの馬」と言う意味で、その名の通りスウェーデンのダーラナ地方で作られている馬の置物の総称です。

今ではダーラナに限らず、スウェーデンはもとより、北欧全体のシンボルとしても有名になりました。

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この馬は、いわゆる「縁起物」と考えられ、家々に幸せをもたらすと言われています。

もともとは、お父さんが長い冬の間、子供たちのおもちゃに、とナイフ一本で削って作った木彫りの馬から始まったそうで、それが色を付けられ、模様が描かれ、おもちゃや、土産物として売られるようになったのが400年前と言いますから、その歴史はかなり古いものです。

でも、考えてみたら「馬」は日本でも縁起物の代表選手ですよね。

神社の「絵馬」は、昔は生きた馬を奉納していたものが、次第に「絵」になって奉納されたことが始まりと言われていますし、「馬」がメインイベントとなっているお祭りは、全国でたくさんあります。

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「馬に乗って神社の境内に一番乗りする」というお祭りのニュースは、本当によく耳にしますよね。

山形、天童市の「左馬」も有名ですが、これは「馬」と言う字を逆さまに書いている将棋の駒が有名です。

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馬を左右逆に書いているのには理由があって、

・人が馬を引くが、、その「馬」が逆になっている為「人を引いてくる」=「商売繁盛」に繋がるとされている。

・馬に右側から乗ると馬がつまずいて転ぶことから、左側から乗る馬=左馬は、人生をつまずくことなく過ごさせてくれる縁起物とされる。

・馬を逆さから読むと「まう」=「舞う」とおめでたい席を連想することから、左馬は「幸福を招く」駒と言われている。

偶然かもしれませんが、ダーラヘストの写真や絵も、左向きに描かれているものがとても多く、「左向きの馬」がスウェーデンでも日本でも、「縁起」を高めると考えられているのかもしれません。

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そしてこれも偶然ながら私が作った木象嵌の馬たちも、やはりみんな左向きになっていました。

特に意識していなかったのですが、「馬=左向き」の構図を自然に描いていたのは、「縁起」を大切にする日本人の心かもしれませんね。

こう考えると、「馬」は日本でも、昔から生活に欠かせない馴染み深い動物であることから、このダーラヘストも単に北欧を連想するだけでなく、「馬」を身近に感じることが人気の秘密なのかもしれませんね。

今のモダンなインテリアにも、昔ながらの「ザ・馬」的な縁起物は取り入れにくいものですが、このダーラヘストなら可愛さと共に、どこか洗練された色合いとデザインが、今のインテリアには取り入れやすいですね。

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N様はお住まいがスウェーデンハウスであることもあり、置物のダーラヘストは持っていなかったけれど、違う形でこのダーラヘストを築15周年の記念として飾れたら、というイメージが膨らみ、すぐに工房にご相談に見えられたとのことでした。

実際のA4サイズの木象嵌を見てさらにイメージがはっきりし、家のリビングの壁に、これくらいのサイズで、と次第に作る木象嵌が具体的になり、ポストカードを拡大コピーして自分なりの組み合わせも考えていらっしゃいました。

製作風景の写真です。

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出来上がりまでは、打ち合わせが何度かありましたし、N様ご自身のアイディアが盛り込まれたり、と、時間はかかりましたが、N様のイメージした通り、風合いが深まった愛着ある家の壁に、とても自然に馴染みました。

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今までの15年、そしてこれからの歳月。

「家」は家族が帰る場所であり、子供の成長や、家族の喜怒哀楽を見守ってきた、いわば心の「大樹」とも言えますよね。

そんな「家」に感謝を込めて、家族の新しい「象徴 ―シンボルー 」を作るというN様の考えは、とても素敵で素晴らしいと思います。

「小さな作品で、申し訳ないのですが・・・」と遠慮がちにおっしゃってくださるN様でしたが、私は作品の大・小ではなく、その作品に込められている想いこそ、一番大切にしたいと思っています。

「家族愛とものを大事にする心も感じながらこの絵と一緒に暮らしたいと思います。」

最後にしめ括られた一文を、私はこれからずっと忘れないと思います。

「家族」や「家」を大切にする心が、良い作品作りの糧となることを今回教えて頂いた素晴らしいことと思います。

これからも家族の「つなぎ手」となるような「家」のシンボルとなる作品を、たくさんの家族に作っていけたらなと思います。

 

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投稿者プロフィール

Akio Shimada

1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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