「6月の花嫁」と呼ばれるジューンブライド。
今年もたくさんの花嫁が幸せの一歩を踏み出すことと思います。
この幸せなセレモニーを誰よりも喜んでいるのは、ここまで育て上げたご両親だと思います。
妻になり、母になることは、たくさんの喜びと出会うことと同時に、困難な状況にも遭遇することを、誰よりも知っているお母様にとって、「娘の結婚」への想いはひとしおのことですよね。
そんなお母様から、娘への結婚式のプレゼントに贈るもの。実際にはどんなものが多いと思いますか?
第一位の答えは、「現金」。
アンケート調査によると、母から娘へ贈る結婚式のプレゼントに渡す現金の額で、一番多いのは「100万円」だそうです。
海外挙式、海外旅行、または結婚してからの必要なものを購入するため、として渡すことが多いようですね。
もらう側の方も、「現金」がいいと思っている人は多く、「相手の経済状況も考慮して、両家それぞれ100万円」という答えもありました。
一昔前は、娘の結婚と言えば、「嫁入り道具」を揃えて娘へ贈る、というお母様が多かったと思います。
「婚礼ダンス」や「家紋入りの喪服など、着物一式」が結婚式のプレゼントの代表格でした。
でも、住宅事情も、文化も変わり、着物を着ない昨今には大きなタンスは必要なくなり、着物すら一人では着れない人の方が圧倒的に多い今、このような贈り物自体が少なくなっています。
もちろん、家風、家の格、地域性など、もろもろ条件は人によって様々なので、やはり結婚式のプレゼントにはタンスや着物が必要だというところもあるでしょうが。
でも、現金をポンっ、ということに抵抗があるという方も多いと思います。
こう思うのは、あげる側の親だけでなく、もらう側にも「お金はちょっと寂しい…」という気持ちがあったり、「経済的に自立しているのに・・」という思いもあるようです。
そんなお母様が娘へ贈る結婚祝いには、「真珠」も人気があります。
自分で買うとなるとためらいがちな「真珠のネックレス」や「イヤリング」。
高価なものであること、どんなものがいいのかわからないと言う理由で、「お母さんに相談して買いたいもの」の一つになっています。
真珠のネックレスやイヤリング、ピアスなどは、冠婚葬祭で使うことの多いアクセサリーですし、結婚式のプレゼントにもらって、そのまま結婚式のドレスに合わせて着けたと言う人も多いようです。
「母からもらった真珠が、良い思い出にもなりました」という声もありました。
それに、結婚して子供が産まれると、お宮参り・七五三・入園、入学、とお祝い事がずっと続きます。
真珠のネックレスを一つ持っていると安心ですし、服のコーディネートにも、真珠は「合わせやすさ」と同時に「品格」も出るアイテムなので、女性なら持っていたいと思うアクセサリーの一つではないでしょうか?
結婚式のプレゼントに贈られたアクセサリーは、母から娘へ、そしてまたその子供へと繋がっていく思い出の品でもありますね。
そんな「現実的なもの」が多いアンケートの答えのなか、心にじんと来るものもありました。
「これを記念に・・・」小さなジュエリーボックスをもらったそうです。
何より、母から娘へ「贈りたい」という気持ちのこもった結婚式のプレゼント。
「大切にしたいと思う、母からの贈り物でした。」とその女性は綴っていました。
現金は、実際の結婚生活ではやはり最も役に立つと思います。
でも、何か「残るもの」を結婚式の記念にプレゼントしたいと思うお母様も多いと思います。
そして、もらう側の娘さんも「想いを残したい」というのは、きっと同じ気持ちではないでしょうか?
婚約指輪や、結婚指輪、それに真珠のネックレスなどをしまっておけるジュエリーボックス。
大き過ぎず、手に馴染む大きさのものであれば、転勤や引っ越しが多い人に嫁いでも、ずっと手元に置いて置けるのではないでしょうか?
何段も引き出しがついているタイプのものもありますが、引っ越しのたびに「置き場所に困る」と言っていたうちの妻は、自分で買ったというその「引き出し付きジュエリーボックス」を先日ついに捨ててしまいました。
大き過ぎないものの方が、永く使っていく上ではいいのではないかと思います。
花嫁となって家を離れる娘さんにとって、今まで育ててきてくれたお母様からの「母から娘へ」のプレゼントは特別の意味があるものではないでしょうか?
「産まれた時から、いつも側にいてくれたお母さん。」
この日がくるまでの日々、ずっと想いあってきた母と娘。
この「結婚」という旅立ちの日に、結婚の思い出がずっと残るような、お母様の想いがいつもそばにあるような、そんなプレゼントをぜひして差し上げて欲しいなと思います。
それはきっと、その娘さんからその子供たちへと、また「母から娘へ」思いをつなぐものへとなっていくと思います。
私が作っている木象嵌の小箱も、そんな「想いのこもった箱」の使命を持つべく、大切な誰かのために作らせてもらっているものです。
鍵をつけたのは、「開ける」度にその想いを特別なものとして思い起こしてほしい、というお母さまからの願いからです。
この箱はこんな風に作られていきます。
まず写真は箱の模型です。大きさ、ざっとしたデザインの確認、それを現物サイズで見て確認するために多少の手間がかかっても本番製作の前に作っておきます。
箱の角は45℃の留めにして、内側には2mmの溝をつけて・・・。
入念に下準備をしますが、結構な時間がかかります。でも大切な作業です。
そして、いよいよ象嵌作業を始めます。
内側の小さな花から始めます。かなり細かい作業が続きます。
あと一息です。
花の真ん中の黒い点は、直径が1mmもありません。
出来た象嵌はプレス機と言う圧着する機械に入れておきます。
象嵌作業が終わると今度は箱の本体の機械加工です。
小さな箱ですが、スウェーデン家具マイスターの技術をすべて詰め込んだ逸品に仕上げます。
私はスウェーデンで家具作りを勉強しており、スウェーデンの国家資格「家具マイスター」を日本人として初めて頂いた者です。
それは私にとって誇りであると同時に、どんな小さなものであっても決して妥協しないモノづくりをする、その決意の証と思っています。
完成しました。
中には小さなトレーをつけました。
上の段にはよく使うジュエリーを。下の段には普段は使わない、でも大切なジュエリーをしまってもらえます。
もちろん、トレーも、箱の内側、底に至るまで、格子柄の象嵌を贅沢にあしらいました。
見えないところもキチンと作る。
それも私が目指しているところです。
象嵌が入ることで、ジュエリーボックスとしても「品格」を持てるように、「美しい」ものであるように。
「娘を想う母の気持ち」をおもいきり込めた、木象嵌のジュエリーボックス。
「母から娘への結婚式の贈り物」として、世界にたった一つのジュエリーボックスを贈ってみてはいかがでしょうか?
その想いが世代を越えていつまでも続くことを祈りながら。
投稿者プロフィール
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1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。
お問い合わせ→こちら
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