先日から打ち合わせを重ねている象嵌家具の製作の続きです。

まだ実際の製作には入っていませんが、約半年をかけている打ち合わせで、ぐっとその全体像がはっきりしてきました。

この家具は、もともとお持ちのワインセラーに合わせ、上部にコレクションしている食器や、小物をディスプレイされるためのものとして製作するものです。

ご家族そろってワインがお好きとのことですが、ワインセラーがさりげなく生活の一部になっているのは、ご家族皆さんの心も豊かに過ごされているように感じられて、本当に羨ましく思います。

このH様ご家族の、シンボルタワーのようになる今回の家具製作。

家具マイスターとして、とにかくすべてに完璧な仕事を目指していかなければならないと思っています。

H様との3回目の打ち合わせで、大体の象嵌の雰囲気について了承頂きましたので、一気に詳細を詰めていくことにしました。

まずは象嵌の下絵を進めます。

下絵2

イメージを膨らませ、それを修正を加えながら書き進めていきます。

薄く書いて、濃く書いて、余計な線を消して・・・の作業を繰り返します。

消しゴムがどんどんなくなります。

ツルも、象嵌することを意識して大体の太さを決めて描きます。

下絵1

木の色だけで変化をつけるので、同じような絵の繰り返しですが、後々の象嵌のことも踏まえて頭のなかで色の配色も考えます。

よく、どのように下絵を書いているのか?という質問を受けますが、本当にこんな風に一つ一つ手で書いていくのが自分流というか、性に合っています。

人によってはパソコンのソフトを使って書いていたりするのでしょうが、アナログ人間の私はこうして鉛筆を片手に書き進めることで、自然自然に絵が自分の中に入り込み、細かい部分まで頭に入っていく気がします。

特に今回のように大きな象嵌をする場合には、細かいところはもちろん、全体のバランスが頭に入っていると、とにかく作業の効率もあがりますし、配色も自然にできるようになるという利点があると思います。

まあ、正直に言うと、パソコンが苦手というのも大きいんですが・・・。

さて、大きな作業台の上に座り込んで作業します。

もう鉛筆を削りに台から降りるのも億劫で、カッターで削りながら書いていきます。
ブラシは消しゴムのかすを取り除くための製図用のものです。

知らない人が見たら、何をやっているのか、と不思議な光景かもしれません。(笑)

下絵4」

大分できあがりました。

ブドウは、種類を変えて、ほとんど違う形になるようにしてみました。

一本の木に種類が違うブドウがなっているというのは、現実ではあり得ませんが、象嵌を一つの夢の世界に例えて、このように描いていくのは私が良く使う手法です。

本当はないはずの「木」が、すっと空間になじんで違和感がないようにする。

それは、形と色のバランスがあってこそ成り立つものです。

このブドウの絵も、象嵌を施すことで自然に感じる作品に仕上がることを、頭で常に意識しながら描いています。

さて、再び壁に貼って、バランスの確認です。

下絵3

大きいので、壁に貼るだけでも一作業です。

でも、ここまでくれば一息つくことができます。

ブドウの印象は、自分の中でほぼいい感じです。バランスもとれている印象です。

正面と、側面に来るブドウも自然に続いている感じが出ていて、自分でもホッとします。

見にくいですが、右下に、犬もそれぞれ書いてみました。

まずは写真で習作したものがこちら。

クラフト8

 

もう少しアレンジを加えなくてはいけませんが、なかなか犬たちの表情も出てくれたと思います。

そして、いよいよこの下絵をH様にお持ちして、4回目の打ち合わせを終えてきました。

下絵は壁ではなく、床に置いて見て頂きます。

第一声は「おおー!」でした。

ホッとして、嬉しい瞬間です。よかったなー。

細かいところは修正することになりました。

ブドウはほとんど手を加えるところがなかったのですが、犬は、尻尾を書き込んでいくことにしました。

それぞれに特徴的な尻尾を持っている犬たち。その尻尾にもH様の愛着があるのだな、と思いました。

「これを参考にして」と持たされたのは、小さな陶製のパピヨンの置物でした。

お聞きすると、この置物とH様のパピヨン君はそっくりだったのだそうです。

本当にこの2匹の犬たちは愛されているなと、温かい気持になりました。

私自身も小さいころから犬が大好きです。散歩している犬を見るとついつい声をかけてしまい、飼い主さんのお名前は知らなくても、犬の名前はしっかり覚えている、という性質の人間です。

また犬も飼いたいなと思っていますが、それも子供が自分たちで散歩できるようになってから、と思っています。

犬や猫も大事な家族の一員ですよね。飼うのなら、しっかりと責任を持たなくてはならないので、もう少し子供たちの成長を待って飼いたいなと思います。

でも、今回初めて犬の象嵌をすることになりましたが、最初は「どんな感じかなー」と自分でもわからない部分が多くドキドキして挑んだのですが、下絵を作ってみて、「これはいける!」と思うようになりました。

これから象嵌をしてみて、まだまだ課題も出てくるでしょうが、今回のように愛犬や愛猫の象嵌を注文頂いた場合も、対応できそうな印象です。

また一つ象嵌の種類が増えたのかな、と思っています。

写真ではない、「木」のアートで好きなものを表現する、というのは、自分の中の仕事としての位置づけとしては、今後ますます大事かなと思っています。

ご興味のある方は、ぜひご相談してみてください。犬、猫、そして、車。犬と車以外は初挑戦になりますが。

さて、この象嵌家具の製作の続きは、またご報告いたします。

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投稿者プロフィール

Akio Shimada
Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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