春から初夏へと移ろっていくこの季節。北海道は待ちきれないようにたくさんの花が次々と咲いていきます。

ここ2週間はライラックがどこでも満開です。

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象嵌をメインに仕事をするようになって、花や木々など、植物に自然に目がいくようになりました。

自慢ではありませんが、花の名前などほとんど知らなかった私ですが、もともと「形」「造り」には興味があり、生け花を習ってみたいと思ったこともありました。

最近は、象嵌の題材にという思いも手伝って、花を見ると写真を撮るのが常になっています。

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ライラックの花、きれいですよね。

でも、「美しいなー」という気持ちとは裏腹に、「象嵌するには大変だよなー」というのが正直な感想でもあります。

象嵌しやすい花と、しにくい花があるのは仕方がないことです。

ひまわりや、タンポポ、そしてラベンダーなどは、象嵌の依頼が来たら凍ってしまいそうな気がします。

もちろん、本当に依頼されたら一生懸命にやらせていただきますが、正直どれだけ時間がかかるのか、考えたくはありません。

(これが本音ですね。苦笑 もちろん、挑戦しますよ!)

さて、北海道の花をテーマに製作した象嵌があります。

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フラノ寶亭留での展示会用に製作したものですが、今日はこちらについてご質問を頂きましたので、この場を借りて詳しくご説明してみたいと思います。

この象嵌には、7種類の花が描かれています。

ルピナス、ダリア、ジャガイモ、ポピー、ブルーサルビア、キンバイ、コスモス です。

北海道は夏が短いので、短期間に凝縮するように花が咲いていきます。

よく驚かれますが、アジサイとコスモスが同じ時期にさいていることも、そんなに珍しいことではありません。

それぞれの花を、自然の木の色と木目だけで表現していくのは、なかなか大変な作業です。

先日のご質問は、「花の入った象嵌をお願いしたいのですが、できますか?」という内容で、具体的な花の種類は決めかねているということでした。

「北海道を旅行して、とても印象深かったので、北海道の花もいいかな、と思っているんですが。」

そこでご案内したのがこの1枚だったわけですが、それぞれの花の種類がこれだけではわからないですよね。

ですので、細かく見ていきたいと思います。

まず、ルピナス、縦長に4つ描かれていますが、のぼり藤とも呼ばれていて、北海道では6月初旬から7月まで見ごろになる花です。色も紫やピンクなど鮮やかな色が特徴で、象嵌にも使ったように2色になるものもあります。

 

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次に、これは北海道に限らず咲いていますが、ダリアです。

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これを象嵌するのはかなりシビレル作業ですが、作り甲斐がある花の一つです。今度どこかで作っている所をご紹介したいです。

次は、ジャガイモ。

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野に咲く花ではありませんが、6月から7月にかけて、北海道の畑のあちこちで目にするジャガイモ畑の様子は、私の大好きな風景の一つです。

黒い土に緑の葉が茂り、白や紫の可憐な花がついているその下で、大きく育っていくジャガイモを想像すると、なんだか元気がわいてくるのです。

そして、美瑛が特に有名ですが、ポピー、ケシの花です。

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ひょろりとして風に揺らめく姿がなんともいいのですが、7月の最盛期のポピー畑を見ると、夏を感じます。
旅行者からも大人気の花だと思います。

そして、ブルーサルビアです。

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この青い色がとても良い雰囲気の花です。

さりげなく咲いている花の一つで、意外に知っている人が少ないのですが、ここまで細かく象嵌できないので、雰囲気を出すように心がけました。

そしてキンバイです。

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高山植物のため、ちょっと高い山でないとなかなか見ることが少ないのですが、北海道の厳しい自然の中でこの小さくてかわいい花はやはり人気がある花です。鮮やかな黄色が美しい。

そして最後はコスモスです。

北海道だけではないものの、夏から秋にかけて、短い夏の季節を名残惜しむように咲いているこのコスモスは、北海道の夏の風物詩ではないかと思います。

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以上7種類の花をご紹介しましたが、私の象嵌のどこにあるかお分かりになりましたか?

どうしてもわからない!という方は、メールでご質問下されば、お答えいたしますので、ご連絡ください!
さて、以前のブログでもご紹介しましたが、札幌市南区の真駒内にある「六花文庫」で、小さいサイズの花の象嵌を展示しています。9月までご覧いただけますので、お近くの方はこちらもぜひいらっしゃってください。

(詳しくはこちらのブログをお読みください。https://d-s-shimada.com/archives/602

象嵌は、使う木の種類、色、木目で印象が全く変わります。

長年やっていても、時にして思い通りにならないことがまだ稀にあります。

逆に、思ってもみなかったベストな配色に出会うこともあります。

「こんな花の象嵌がほしい。」「こんな象嵌を贈り物にしたい」 そんなご希望がありましたら、ぜひご連絡してみてください。

作品はすべて0から出発しています。あなたの好きな花が、一つの作品になります。

ご連絡をお待ちしております。

最後に、花の写真を撮影していて、思わず撮ってしまった一枚を。

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太い木の幹が分かれたその部分にしっかりと根付いたタンポポです。

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こんなに高いところに、よくも、まあ、です。

こんな驚きや、感動を象嵌にしたら・・・。と思うのですが、これはなかなか難しいですね・・・。

 

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投稿者プロフィール

Akio Shimada
Akio Shimada
1971年生まれ。北海道苫小牧市出身。日本各地で木工修行の後、スウェーデンで北欧の木工技術を学び、2007年日本人として初めて「スウェーデン家具マイスター」の称号を得ました。高い技術を誇る木象嵌と家具の製作をしています。

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